ゴールデンウィーク営業日のお知らせ

5月のゴールデンウィークの各店舗営業日をお知らせ致します。

燕本店
【営業日】
5月3日(水)AM8:30〜PM5:30
5月4日(木)PM13:00〜PM5:30(午後からの営業となります)
5月5日(金)AM8:30〜PM5:30
【休業日】
5月6日(土)、7日(日)

青山店
5月2日(火)の定休日以外は営業致します。

銀座店
ゴールデンウィーク期間中は無休で営業致します。

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

[第103号]胃袋が求める旅~ガストロノミーツーリズム

2020年、東京オリンピック開催に向けて訪日外国人観光客が大幅に伸びている中、さらなる訪日外国人観光客誘致へ向け、地方自治体や地場産業は様々な取り組みを行っています。中でも郷土料理と日本文化を活用し、インバウンド誘致を狙う「ガストロノミーツーリズム」が注目を集めています。ガストは「胃」を、「ノミー」は「方法」「学び」を意味し、「美食学」とも訳されます。旅において食は大事な要素ですが、ただ食を楽しむだけでなく、食を旅の主目的として位置付け、その土地の風土や伝統が織りなす食文化を丸ごと体感する、欧州で始まった新しい旅の形態です。世界的なローカルシフト(地方回帰)やヘルシーブームの追い風を受け、食に対する関心は世界的に高まっており、かつて料理業界では美食という意味合いが強かったガストロノミーも、現在では食の多様化を楽しみ、生産地を訪れ、農家体験や料理体験などを行うツーリズムの分野として、今後、地方創生の大きな役割を果たしていくものと思われます。

平成28年、観光庁発表「訪日外国人観光客消費動向調査」によると、外国人観光客が「訪日前に期待していたこと」に関するアンケート調査で、和食、景勝地観光、伝統文化体験、旅館宿泊、温泉入浴などが上位に挙がっていますが、中でも和食は第1位。平成27年のデータでは、訪日外国人の食事額は6,420億円で年々増額しており、日本の外食産業に大きな影響を及ぼしています。和食は世界の主要都市にてブームになっており、さらにはユネスコの無形文化遺産に指定された影響よって、訪日外国人観光客に大きなニーズがあり、地方都市にインバウンド誘致を進める場合、食文化と日本文化の組み合わせは、重要なキーワードとなります。各地域がガストロノミーツーリズムに取り組むメリットとして、新たなインフラを作らなくとも地域の魅力を伝えることができ、観光向きではない地域でも、取組次第で魅力的な観光地として成長できることが挙げられます。つまり、今ある地域資源を掘り起こし、それを最大限に活用していくことが求められているのです。

篠田昭・新潟市長は、今年の新年挨拶の中で、ガストロノミーツーリズムを2017年の重要政策の一つとして打ち出すと語りました。2016年4月、G7農業大臣会合の開催地となった新潟市は、国の農業戦略特区に指定されており、新潟の四季折々の豊かな食材を活かした「美食のまち」をスローガンに、ガストロノミーツーリズムの国内先進都市を目指します。例えば200年の伝統を誇る新潟古町芸妓は、日本三大芸妓の街として、京都の祇園、東京の新橋と並び称され、新潟市を代表する伝統文化の一つ。市内最大の繁華街・古町には、この芸妓を楽しむことが出来る料亭が今も多数存在しており、国内外のビジネスマンや観光客を魅了しています。それを支えているのが国内有数を誇る、新潟ならではの「食」です。新潟は日本一高品質の米を生む土壌で、日本酒の酒蔵数も日本一。野菜や果物も全国有数の品質の高さを誇ります。また、東京・名古屋間とほぼ同じ距離のある新潟県の海岸は、実に多種多彩な魚介類が生息しており、まさに海の幸の宝庫。これらの地域資源を生かし、生産者と飲食店の融合など、異業種連携による食文化創造支援事業の展開を積極的に行っていく方針です。

新潟市以外でも、今年からガストロノミーツーリズムの事業を、本格的に実施していく自治体が次々と出現しています。昨年10月、ANAホールディングスの子会社「ANA総合研究所」は、飲食店情報サイト「ぐるなび」と共同で、「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」を設立。ONSEN(温泉)という名の通り、温泉として有名な自治体の7首長が、発起人として名を連ねています。北海道弟子屈町、秋田県大館市、福島県会津若松市、山口県長門市、大分県別府市、大分県竹田市、熊本県天草市の7市町です。外国人に人気の高い温泉を地域資源として、「温泉(ONSEN)」と「食」を、その土地固有の地域の魅力と共に、ウォーキング等を通じて体感する事業を実施し、訪日外国人観光客誘致を促進することが目的です。5年以内に会員として100自治体の加入を目標としていますが、ガストロノミーツーリズムは、今後、地方自治体の重要な政策となっていくため、賛同する首長は次々に増えてくるものと思われます。

欧米では、既にガストロノミーツーリズムの概念が浸透しており、食を地域資源とし、世界的観光地として認知されている地方都市は多数存在しますが、そのトップランナーと言われている街がサン・セバスチャンです。スペイン北部バスク地方、人口18万人という小さな街ですが、EU認定「欧州文化首都」に選定され、世界一美食の街として知られています。ガストロノミーツーリズムに焦点を当てた様々な施策を、1990年代後半から官民一体となって展開し、料理大学の設置、地域のシェフたちがお互いのレシピをオープンにする仕組みなどを作り、切磋琢磨して調理技術向上に繋げるなど、今や連日、外国人観光客で大変な賑わいとなっています。かつては高級保養地として知られている程度で、観光資源は特になく、この地を訪れる観光客は低迷していましたが、ガストロノミーツーリズムの概念を街中に浸透させ、わずか10年で世界的観光都市へと変貌を遂げました。地域ブランドの世界的成功事例としても取り上げられており、地方創生のヒントは、サン・セバスチャンに隠されています。

日本は世界のガストロノミー関心層からの期待に応える地域資源を数多く持っています。世界最多の魚種を水揚げする全国2000以上の漁港や、豊かな風土で作られる農作物や山菜に代表される山の恵み、そして郷土料理や二十四節気ごとの行事食。全国約67万店舗の外食店と、それを支える68万人以上の料理人の高い技術力とクオリティー。ミシュランの星の数は世界最多を更新中で、編集長が「世界の美食の中心として群を抜いている」と絶賛しています。このように、世界のトラベラーが期待するガストロノミーツーリズムの要素は、間違いなく日本にあります。シリコンバレーがIT産業に特化したように、サン・セバスチャンは料理を知的産業として大成功を収めました。今年2017年、日本はガストロノミーツーリズム元年の年となります。全国の自治体が、食を通じて地域の魅力を発信し、世界中の方々と共に郷土料理を楽しむことの出来る地域振興策を、地域の垣根を越えて検討していきたいものです。

新作コーヒーポット ご紹介

今年2月10日〜14日までドイツのフランクフルトで開催された 「Ambiente 2017」。そこで発表された新作コーヒーポットは 手馴染みのよいワンサイズ小さめのハンドドリップ用ポット。このポットを使って「VIVA COFFEE」がドリップする美味しいコーヒーの試飲会を行います。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

日時:3月18日(土)19日(日)
場所:玉川堂青山店
時間:13:00〜17:00

詳しくは、玉川堂青山店【03-5778-3020】までお問い合わせ下さい。

同日開催
Toko Coffee Festival 2017 spring
国内最大級のコーヒー屋さんによるコーヒーのお祭り
会場:国連大学前広場(東京都渋谷区神宮前5-53-70 玉川堂青山店より徒歩5分)
http://tokyocoffeefestival.co  https://www.facebook.com/tokyocoffeefestival/

コーヒーフェス

[第102号]廃校活用の大きな可能性

1872年(明治5年)に「学制」が公布されると、全国的に学校が建設されるようになり、以来140年以上、学校は日本人の教育の場となりました。しかし近年、少子化による児童生徒数の減少、市町村合併などの影響により多くの学校が廃校となり、その数は全国で毎年約500校に及び、その後の施設の有効活用が求められています。文部科学省は、廃校した校舎を解体するのではなく有効活用することで、地域活性化に繋がり、地方創生に大きな役割を果たすとの認識から、「みんなの廃校プロジェクト」を立ち上げました。廃校を活用してほしい地方公共団体と、廃校を活かしたい企業、NPO法人、福祉施設などのマッチングを行うプロジェクトです。これにより円滑なマッチングが促進され、体験学習施設、福祉施設、宿泊施設、カフェ、保育園、病院など、全国様々な廃校プロジェクトが誕生しており、廃校の有効活用は、新たなビジネスモデルとして注目されています。

文部科学省ホームページ掲載の最新データ、2014年公表「廃校施設活用状況実態調査」によると、2002~2013の公立学校の廃校数は年間500校前後で推移しており、この間の累計は約5,800校。都道府県別で比較すると、北海道が597校で他の都府県と比べて圧倒的に多く、以下、東京245校、岩手233校、熊本232校、新潟201校と続いています。そのうち約700校は解体され、現存している廃校約5,100校のうち、約3,900校はその後も活用されていますが、活用の用途が決まっていない廃校は調査時点で約1,200校あるのです。その理由として、「地域からの要望がない」「施設が老朽化している」「立地条件が悪い」などが挙げられています。また廃校を生かした事業を行っても、廃校になるだけあって、周辺人口の少なさや、交通アクセスの不便さというハンディを抱えているケースが多いため、その多くが順調な運営が行われているとは言えない状況です。

廃校活用のモデルケースとなっている代表的な事業の一つに、「世田谷ものづくり学校」が挙げられます。2004年、旧世田谷区立池尻中学校を再生すべく、デザイン・建築・映像・アート・ファッションなど、様々な分野の若手クリエイターにワーキングスペースとして教室を開放。働くスペースを提供する事業だけでなく、一般向けのものづくりイベントも多数開催しており、全国的に注目されています。この「世田谷ものづくり学校」の廃校プロジェクトに感化された島根県隠岐の島町は、2012年、全国から隠岐の島へ若手クリエイターを呼び込もうと、廃校となった旧隠岐の島中村小学校を活かし、「隠岐の島ものづくり学校」を開校。さらに新潟県三条市も、2015年、廃校となった旧三条市南小学校の校舎を活かし、燕三条のものづくり産業の高付加価値化、情報発信力の強化、次世代ものづくり人材の育成などを目的に「三条ものづくり学校」を開校しました。隠岐の島町と三条市共に行政の運営ではなく、世田谷ものづくり学校を運営する株式会社ものづくり学校の経営によるプロジェクトです。

廃校活用は、地方公共団体やNPOが多数を占めていますが、民間企業も積極的に行うようになりました。芸能事務所「吉本興業」の東京本部の社屋は、商売繁盛の神様として知られる花園神社隣・旧四谷第五小学校の校舎をそのまま活かした、遊び心溢れるオフィスになっています。小学校特有の横に広い建造物で、もともと教室だった部屋には黒板なども残ったまま。同所の「よしもとクリエイティブカレッジ」では、校舎の中で芸人の育成が行われています。生ハム製造量日本一「白神フーズ株式会社(秋田県大館市)」は、統合で空き校舎となった大館市の旧山田小学校の校舎を、生ハム製造工場として活用しています。白神山地の山すそに位置しているため、年間を通して冷涼な気候の土地であることや、窓が大きく風通しが良い建物のため、生ハム製造には最適とのこと。神戸市・三宮「北野工房のまち」は、旧神戸市北野小学校の廃校を活かした体験型ショッピングモール。スイーツ、パン、地酒、神戸牛など、神戸ブランド22のショップが軒を連ね、施設内では販売だけでなく体験も可能で、神戸市の人気観光スポットの一つになっています。

新潟を代表する廃校プロジェクトとして、長岡市(旧三島郡和島村)の旧島田小学校の校舎を改装した「和島トゥー・ル・モンド」が挙げられます。地域のシンボルとなっていた昭和2年建築の木造校舎は今、新潟県内屈指の人気フレンチとして話題となっており、連日大勢のお客様で賑わっています。長岡市内の社会福祉法人が経営し、東京から敏腕シェフを採用、調理補助は地元の障害者を採用し、障害者にも門戸を広げています。校舎脇のグランドは野菜畑になっており、毎日鮮度の高い食材が楽しめます。また、佐渡の醸造元「尾畑酒造」は、2014年、廃校となっていた旧西三川小学校を酒造りの場として再生する「学校蔵プロジェクト」をスタートさせ、新銘柄「学校蔵」を売り出しました。生まれ変わった学校の校訓は、酒造りを通した人のつながりから幸せを醸すとの想いを込め、「幸醸心(こうじょうしん)」に。学びの場であり、交流の場であった学校。日本酒講義などによる日本酒の学び場としても開放し、佐渡の地酒の魅力を発信しています。

地域の人々にとって、学校は誰もが親しんだ建物であり、心の故郷です。廃校になったからといって思い出は消せないもの。地域外の人々にとっても学び舎は、自身の若い頃を重ね合わせて、どこか愛着を感じます。廃校活用は、地域住民の心の拠り所を残すだけでなく、古い建物から新しい力を生み出し、人を呼び込むことで再びその場所に命を与えるもの。それが、地域の核となり絆となれば、廃校への地域の人々の想いはより深まります。そして、廃校プロジェクトは民間が運営していくことで、福利厚生や文化促進といった側面のみを重視し、公共施設が陥りがちな回収見込みのない管理コストの問題点もクリアでき、新たなビジネスの場にもなっています。また、更地から建物を作る訳ではなく、低コストで工事費が抑えられることもメリットで、全国各地に眠っている資産の筆頭は、まさに廃校と言ってもいいでしょう。教室・体育館・プール・家庭科室など、ビジネスと生活にまつわる資源が揃っており、これをリノベーションすれば、活用方法は無限大です。廃校は今後も増え続けると思われ、一考する価値のあるビジネスフィールドでもあります。

玉川堂青山店 新春 製作実演のご案内

玉川堂青山店では、職人による製作実演を企画しております。
この機会に直接職人とふれあい、銅器が職人の手元から生み出される工程を間近でご覧下さい。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

1月14日(土)、15日(日) 女性職人 潮 真理絵(うしお まりえ)
【ぐい呑 均しによる鎚目付け】

1月28日(土)、29日(日) 匠長 玉川 達士(たまがわ たつし)
【木目金 彫りによる模様出し】

2月  4日(土)、  5日(日) 工場長 須佐 真(すさ まこと)
【木目金 煙管の彫りと成形】

※全日12:00〜17:00

詳しくは、玉川堂青山店【03-5778-3020】までお問い合わせ下さい。

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新年ご挨拶

謹んで初春のお慶びを申し上げます。
旧年中は過分のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
昨年2016年、おかげさまで創業200年を迎えることが出来ました。
昨年4月の周年展を皮切りに始まった「玉川堂創業200周年事業」。
そのフィナーレを飾るのが、今年4月20日開業「玉川堂銀座店」です。
青山店に次いで都内2号店となり、
玉川堂の理念であるお客様との対面販売の強化を、より一層図ってまいります。
本年も引き続き変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

玉川堂7代 玉川基行

[第101号]飛躍する日本のブランド米

新潟が米王国の威信をかけて2008年から開発し、コシヒカリと共に新たなブランド米に育ていこうと、今年10月、そのベールを脱いだ「新之助」。新しいの「新」、新潟の「新」の文字をその名に配し、誠実で芯が強く、かつスタイリッシュな現代的日本の男児をイメージして「新之助」と命名されました。新之助は、コシヒカリに比べて稲の長さが10センチほど短いことから、台風に強く、さらに猛暑でも枯れにくいことも特長です。コシヒカリは暑さに弱く、5年前は猛暑で品質を落したものの、新之助はその猛暑にも耐え、味の追求だけでなく、コシヒカリの弱点も克服しています。先日初めて新之助を食しましたが、大粒で甘味が強く、しっかりとした粘りと弾力があり、見事な食感と香り。今までにないインパクトの強さを感じ、コシヒカリとは別物という印象を受けました。冷めても美味しく、時間が経っても固くなりにくい性質のため、弁当やおにぎり用としても、大きな需要が見込めます。

日本人にとって、本来、米は命を繋ぐための大事な食料で、戦中・戦後の食糧難の時代まで、米は「おなかを満たす」ためのものでした。その後、1960年代に需要より供給の方が上廻り、1970年代、数多く米を収穫する多収性から、品質改良を行い、味の良さを追求する風潮が生まれはじめ、次第に「コシヒカリ」と「ササニシキ」の2大銘柄の時代が到来します。その後、「あきたこまち」を皮切りに、新品種が次々と登場しましたが、「コシヒカリ」は他の追随を許さず、人気実力共に着実に上昇。次第に日本米は「コシヒカリ」一強時代を迎えます。しかし近年、画期的な品質改良が全国各地で行われており、他品種でもコシヒカリと同等に評価される米が次々と登場し、米の多様化が進んでいます。それらの品種は、コシヒカリとは異なる味の特徴を持っており、そうした米の味覚の多様化によって消費者の趣向の多様化も進み、米のブランドを選ぶ消費者が増えてきました。

今、日本米は戦国時代を迎えています。日本穀物検定協会の食味ランキングによると、最高ランクの「特A」を獲得した銘柄米は、2000年は11銘柄だけでしたが、2010年には20銘柄、今年2016年は46銘柄と増加傾向にあり、全国的な生産技術の向上には目を見張るものがあります。特に2011年以降は、特Aに不向きの地域とされていた北海道と九州でも顕著な増加が見られ、中でも、2011年にデビューした北海道産米「ゆめぴりか」に対する評価は、北海道産米のイメージを覆しました。元来稲作に適さない気候風土のため、北海道産米は、生産量全国1、2位を争う産地でありながら、その多くは低価格米で二流産地というイメージでしたが、逆境に打ち勝つべく品種改良を重ね、「ゆめぴりか」は特Aの中でもトップクラスの評価を受けるまでに飛躍を遂げています。九州も稲作に適さない気候風土でしたが、近年の品質改良は特筆すべきものがあり、米の作付け面積別ランキング全国第3位の「ひのひかり」は九州生まれで、今年2016年は熊本と宮崎で特Aの評価。鹿児島の気候に適合した、鹿児島でしか手に入らない「あきほなみ」も、今年特Aの評価を受けています。

一方、東北でブランド米にいち早く取り組んだのが山形県です。2010年デビュー以来、連続特Aの評価を獲得している「つや姫」は味の総合力に秀で、一躍全国区の人気米となりました。コシヒカリに代わる日本一の米に育てようというのが山形県の考えで、全国で勝負できるブランド米になるには、1県の力だけでは難しいと、生産量を増やすべく、つや姫の種子を他県に配布してシェア拡大を目指しています。「つや姫」の評価は、魚沼コシヒカリに次ぐ2番手に位置しており、全国の小売価格を調査している米穀安定供給確保支援機構のHPによると、平均単価(1キロ)は、魚沼コシヒカリ(527円)が断トツの1位で、第2位が山形つや姫(447円)、第3位が北海道ゆめぴりか(432円)、第4位が新潟コシヒカリ(378円)と続きます。「つや姫」と「ゆめぴりか」は、新潟コシヒカリの価格を超えており、10年前は考えられなかった現象。10年後、絶対王者である日本米の最高峰・魚沼コシヒカリから王座を奪取すべく、全国各地でさらなる品質改良が進められています。

高品質な米の生産は難しいとされてきた北海道や九州で、次々と特A評価の新ブランド米が開発されているのは、技術革新と農家の努力の賜物と言えるでしょう。今後は、更に北海道や九州の米に注目が集まっていくものと予想されます。このように新しい品種が次々と台頭する背景には、大きく2つあります。一つ目は、日本人の食生活の変化による米離れです。米の消費量は年々減少しており、1960年代、年間で1人約120キロの消費に対し、現在は約60キロと半減しています。この米離れに危機感を持った自治体や農家が、高品質のブランド米の開発に力を入れました。2つ目は、近年の地球温暖化による気象条件の変化に対応する必要が出てきたことです。猛暑によって米の品質が落ちるというケースが全国的に多発しており、暑さに強い品種開発が求められています。保守的とされる米の世界で、既成概念を打ち破るブランド米が次々出現しており、新品種の開発競争が激しくなる中、少しでも強く消費者に印象付けるブランド戦略を打ち出していければ、米業界はさらに活気付くでしょう。

日本の米は「旨味」が重要視されてきましたが、近年「甘み」に移行しつつあります。これは、日本人の噛む回数が減少していることが要因で、噛む回数が多いと旨味が感じられ、少ないと甘味が強調されます。そのため、インパクトのある甘味が感じられる米が受け入れられており、近年のブランド米は、甘味が強調される傾向にあります。そして、それらブランド米の最大の特徴は、何と言っても「食感」です。米の美味しさは食感の占める割合が大きいと言われていますが、ブランド米は総じて粒感がしっかりしつつ、柔らかい塊感を兼ね備えており、この食感は年々進化していると感じています。中でも「新之助」は秀でており、日本米の新たな食感の基軸になるのではないかと思っています。海外の食通の方々にも、一定の評価を受けることは間違いないでしょう。TPPはアメリカ離脱宣言で暗礁に乗り上げているものの、新ブランド米の輸出は、今がまさにチャンスの時と言えます。和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、和食の基本である「米」が世界的に認知されつつある今、あらためて私たち日本人が日本の米を味わい、新たな価値を認識した上で、その感動を世界へ発信していく時であると感じています。

日経スペシャル「夢織人 〜小さなトップ企業〜」TV番組放映のお知らせ

玉川堂の30分特集番組が放映されます。

  日経スペシャル
「夢織人〜小さなトップ企業〜200年企業の挑戦!ストーリーを売る老舗」

 12月24日(土)11:00〜11:30 テレビ大阪
1月12日(木)23:00〜23:30 BSジャパン

今日の玉川堂の土台を作った幾つかのエピソードを交え、これまでとこれからの玉川堂を垣間みることができます。
案内人は尾上松也さん、ナレーターはキムラ緑子さんです。
是非ともご覧下さい。