玉川堂青山店 しおり製作体験のご案内

本のしおりを自分で作ってみませんか?
銅板(しおり材料)に金鎚で鎚目を打って製作します。
仕上げは職人が工場へ持ち帰り着色までして、2週間後にお渡しします。

日  時:3月17日(土)・18日(日

時  間:
1回目 12:00~12:30
2回目 13:00~13:30
3回目 14:00~14:30
4回目 15:30~16:00
5回目 16:30~17:00
6回目 17:30~18:00

定  員:各回2名様まで

料  金:お一人様¥1,000.-(税込)

職  人:田子森有里(たごもり ゆり)

※ 色は青色・素銅色の2色からお選びください。
※ 色は青色・素銅色の2色からお選びください。
※ 仕上げ後発送ご希望の方は送料¥864.-にて承ります。
※ ご予約はお電話にて青山店03-5778-3020まで。
(営業時間11:00~19:00、毎週火曜日定休日)
※各回ともに定員になり次第締め切らせていただきます。

ANA国際線機内誌 玉川堂掲載

ANAの国際線機内誌「WINGSPAN」3月号に、玉川堂の記事が6ページに渉り掲載されます。
表紙を飾るのは、ロゴのモチーフでもある大鎚目のスイングカップ。
国際線をご利用の際には是非ご一読下さい。

玉川堂銀座店・青山店 実演販売のご案内

一枚の銅板を金鎚で丁寧に叩き、 滑らかな流線を施した玉川堂の急須。
流れるお湯は水切れが良く、液垂れのない形状です。
細やかな鎚使いで繊細なラインを形作っていく様を
玉川堂の熟練職人、細野五郎が実演致します。

日 時:
2月24日(土) 青山店
2月25日(日) 銀座店

時 間:12:00〜17:00(両店とも)

職 人:細野 五郎(職人歴49年)

第2回三井ゴールデン匠賞受賞

日本の伝統文化を継承しつつも、未来につながる「革新的な」アイデアを取り入れ、さらに発展させている伝統工芸の担い手に、注目と賞賛が集まる機会を創りたいという思いから創設された「三井ゴールデン匠賞」。玉川堂はこの度、受賞者5社の1社に選ばれました。

https://mgt.mitsuipr.com/about/winner.html#form

3月20日に授賞式があり、そこで決定する「モストポピュラー賞」は一般投票により決定致します。
是非皆様の一票を宜しくお願い致します。

[第114号]ジャポニスム再来〜ネオ・ジャポニスム

19世紀後半、欧州では日本の造形に対する関心の高まりと共に、その影響によって大きな流行様式が生まれました。ジャポニスムと呼ばれる異国趣味です。海外博覧会を通じて流通していた日本の工芸品、浮世絵、着物などの高い美意識に触発され、欧州人はその文化に魅了されました。鎖国が200年以上も続き、欧州にはほとんど日本の情報は入らなかったため、当時の欧州人から見た日本のイメージは「謎めいた国」。しかし、開国後に日本製品が次々に欧州へ渡ると、その美意識の高さや欧州には無かった発想や感性に驚き、瞬く間に日本ブームであるジャポニスムが興りました。ジャポニスムはフランスが発信の中心地となり、徐々にイギリスや北欧など主に海外博覧会の開催国を中心として広がっていき、富裕層だけでなく中流家庭でも室内を日本の品々で飾ることが流行するまでに。こうして日本は「謎めいた国」から「憧れの国」へと変化していったのです。

日本と欧州の貿易は、16世紀よりオランダまたは中国を経由しており、鎖国中もわずかながら日本の工芸品は欧州に渡っていましたが、1853年、ペリーが浦賀に上陸して正式に開国した後の1859年からは、欧州との直接の貿易も始まりました。ジャポニスムが興った要因の一つは、欧州との貿易開始8年後に開催された1867年パリ万博博覧会と言われています。そこで江戸幕府は、陶磁器、漆器、版画、着物など大量の展示を行い、閉会後には出展品を全て売却しました。それが日本文化が欧州で広く紹介されることとなったのです。文献によると、かなり法外な価格でも飛ぶように売れていたとのこと。その翌年1868年に明治政府が誕生、日本が初めて公式参加した1873年ウィーン万国博覧会を機に、外貨獲得と日本文化のレベル向上のため、政府は全国の地場産業に対しても積極的に海外博覧会への出品を奨励しました。地場産業もそれに呼応して精緻精巧な作品を次々と海外博覧会へ出品し、欧州でのジャポニスムの熱狂は頂点に達します。

ジャポニスムのもう一つの要因は、浮世絵の存在です。フランスを中心とする欧州の上流階級の人々が浮世絵を評価しコレクションを始めると、浮世絵を販売する商人が現れ、大量の浮世絵が海外へ輸出されました。浮世絵は欧州の芸術家に衝撃的な影響を与えており、例えばガラス工芸ではエミール・ガレが浮世絵に影響された作品を多く残しています。特に好んで多用された蜻蛉のモチーフは、それまで欧州では使われなかった図案でした。また、上から見下ろすような浮世絵独自の構図も欧州では見られなかった表現方法であり、遠近法で写実的な世界を描くことが主流であった欧州の人々に大きなインパクトを与えました。初めてそれを目にした彼らの驚きと感動は大変なものであったといいます。当時浮世絵の影響を受けた画家は、ゴッホ、マネ、モネ、ドガ、セザンヌ、ロートレックなどが挙げられますが、彼らは浮世絵を収集して模写を行い、こぞって自身の作品に浮世絵の要素を取り入れ、新たな作風を構築していきました。

ジャポニスムは日本側が意図して興した現象ではなく、欧州人が時代を変えていこうとしていた時期に、タイミングよく開国と重なったことが要因と思われます。1870年、フランスは帝政が崩壊し共和政へと移行する中で、民衆が文化の担い手という意識が強まります。浮世絵は民衆のための芸術とされ、特に葛飾北斎の浮世絵は「民衆を導く自由の女神」を描いたドラクロワなどに比肩するとも評されました。また日本は「謎めいた国」の他にも「近代化されていない夢の国」とも言われ、ゴッホなどは浮世絵を学ぶに留まらず、日本は光と色彩に満ちた国であるとその憧憬の念を高め、その光と色彩を求めて南仏でゴーギャンと共同生活を始めました。情報が限られた時代であり、ゴッホは想像を膨らませ、願望を作品に投影したとのこと。また、パリ・モードでも大きな変化が起きました。身体を締め付けるコルセットからの解放を目指していたデザイナーが、着物のデザインや裁縫に着目し、筒型のドレスを開発しました。日本の文化は欧州のファッションの近代化にも繋がっていたのです。

ジャポニスムは発生から約50年後の1920年頃に終焉しましたが、それからちょうど1世紀が経ち、政府は再びジャポニスムを興そうと、今年は欧州で政府主導の日本文化発信の事業が2つ実施されます。1つ目はフランス政府と連携した大型日本文化紹介のイベント「ジャポニスム2018」の開催です。今年7月〜来年2019年2月の8ヶ月間開催され、キャッチコピーは「世界はふたたび、日本文化に驚く」。展覧会、舞台公演、映像、生活文化の4つのカテゴリーで、日本の伝統芸能から現代美術、ポップカルチャーなどを紹介する50を超えるプログラムが用意され、パリ市内の20以上の美術館や劇場などが会場となります。安倍首相は「日仏は共に文化を重視する国で、文化交流をさらに強化する」と、開催に強い意欲を見せています。2つ目は日本の文化や技術などの海外拠点施設「ロンドン・ジャパンハウス」の開業です。外務省企画による海外拠点施設であり、地場産業企業や芸術家にとってロンドン・ジャパンハウスの存在は今後、大きな影響力を発揮していくことでしょう。

ジャポニスムの再来を、私は「ネオ・ジャポニスム」と呼んでいます。上記2つの事業はネオ・ジャポニスムに向け、大きな試金石となりますが、さらに今年は、ネオ・ジャポニスム到来に大きな役割が期待出来るイベントが11月に決定します。2025年開催の万国博覧会開催都市の決定です。パリ、エカテリンブルク(ロシア)、バクー(アゼルバイジャン)に加え、大阪が立候補しています。大阪開催が決定すれば、1970年大阪万博以来2回目の開催となり、2020年東京五輪後の日本国内最大イベントとして、世界が日本に注目することになり、さらなるインバウンド増加が期待できます。ネオ・ジャポニスム到来の目的は、訪日外国人客を地方にも招致して地方創生に繋げていくことだと考えており、地域の産業や文化を世界へ発信し、興味を持った方々から地方にお越しいただくという流れを、より一層構築していく年になります。「ジャポニスム2018」「ロンドン・ジャパンハウス」がいよいよ実施となる今年を転機と捉え、ネオ・ジャポニスム到来へ向けて大きく飛躍する年にしていきたいものです。

玉川堂青山店 靴べら製作実演のご案内

靴へのこだわりは道具へのこだわりに。
男性職人が手掛けた銅製の靴べらは、表裏に異なる色を配し、
玉川堂独自の着色技術を存分に発揮したもの。
今回の実演では、製作担当の職人が金鎚で叩きながら
しなやかな曲線を銅板に施していく様子をご覧頂きます。
実演ならではの製作秘話なども直接職人がお話致します。
是非この機会にご来店下さい。

※新作の靴べらは20日(土)より青山店・銀座店にて販売を開始致します。

日時:1月20日(土)・21日(日)12:00〜17:00

場所:玉川堂青山店(03-5778-3020)

職人:須田 隼一

新年ご挨拶

謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は過分のお引き立てを賜り、心より感謝申し上げます。
昨年は創業200周年事業のフィナーレを飾る事業として、
「私たちが作った銅器を、私たちのお店で、私たちが丁寧に販売する」をコンセプトに、
青山店に次いで都内2号店となる玉川堂銀座店をGINZA SIXに開店いたしました。
玉川堂の理念であるお客様との「対話」をより一層図り、
お客様と共にものづくりを行うという姿勢をより強固にしたいと考えております。
本年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

玉川堂 代表取締役
7代目 玉川基行

[第113号]シノワズリーに見る、日本工芸の原点

1600年代半ば以降、西洋人は中国製の白磁の美しさに魅了され、貴族や富裕層らは競ってそれを買い求めました。いわゆる「シノワズリー」と言われる中国ブームです。透き通るような美しい白磁の花瓶、ティーポット、カップアンドソーサー、プレート。その器の表面に描かれた、花や竹林などの極めて繊細で美しい中国紋様は、世界デザイン史における代表格であり、中国人の美的センスと感性の素晴らしさは見事の一言に尽きます。その多くは、中国の景徳鎮で製作されました。この「シノワズリー」を通して東洋と西洋の融合が進み、西洋人の異国情緒を駆り立て、東洋の神秘、中国への幻想が生み出されたのです。それは西洋人のものづくりにも反映され、中国紋様の影響を受けた食器、装飾品、家具、庭園、ファッションにまで幅広い中国文化が移入され、西洋人の生活様式に大きな影響を与えると共に、中国に対する関心と憧れは最高潮に達しました。

シノワズリーブーム開始間もない1690年頃、イギリスの東インド会社は中国のお茶の輸入を始め、次第に絹に代わってお茶が貿易の中心となりました。また、コーヒーも東インド会社が本格的な輸入を開始したため、欧州にお茶やコーヒーの需要が広がり、陶磁器のカップアンドソーサーなどは日常生活の道具として不可欠なものとなります。中国製の白磁が欧州に広く流通されると、シノワズリーブームはより一層加速すると共に、価格も高騰し始めました。そこで、自国で白磁を製作出来れば価格も抑えられると、1710年ヨーロッパ初の磁器窯がドイツのマイセンで開業したのを機に、欧州でも本格的に白磁の製作が始まり、次々に磁器窯が広がっていったのです。「ヘレンド(ハンガリー)」「ウェッジウェッド(イギリス)」はじめ、今や世界ブランドとして日本人にも愛されている名窯も、藍と白を使った模様や花鳥風月などシノワズリーの文様を盛んに製作し、今も定番模様として人気を博しています。

シノワズリーブームが起こり中国製の白磁が西洋人に受け入れられた最大の要因としては、当時の欧州の技術では同じものが生産出来なかったことが挙げられます。欧州はガラスや金属製品の先進国は揃っていたものの、陶磁器全体の技術は未熟であったため、ヨーロッパの陶磁器の職人たちは中国製の白磁の純白さに憧れたのです。そこで見よう見まねで陶土に牛の骨を混ぜ、試行錯誤の上、やや技術的な荒さは残るもののようやく中国風の白磁を再現することに成功しました。欧州の磁器が今でも「Bone China(ボーンチャイナ)」と呼ばれるのは、このような経緯があったからです。もう一つは、中国独自の形状とデザインの美しさです。中国の磁器の膨らみを持った形状、丸みと鋭い直線を巧みに使い分けた形状、中国の花々の装飾、童子の織りなす風俗絵など。それらの造形美とデザインは、西洋の文化とは全く異なるデザインであるため新鮮味に溢れ、西洋人の五感を大きく刺激し、大きな驚きをもたらしたのです。

シノワズリーブームは白磁だけでなく、漆器や絹織物など中国の工芸品全般が対象となっており、西洋人は中国の工芸を賞賛し、生活道具として取り入れていきます。また、シノワズリーは当時の日本の職人たちにも大きな影響を与えました。中国では銅器も盛んに製作しており、私たち伝統工芸に従事する者にとって、中国の工芸無くして現在の日本の工芸は語れません。シノワズリーがブームであった当時の銅器の資料はほとんど見当たりませんが、中国では約4000年前から青銅器が製作され、東京・南青山「根津美術館」の常設展示では約3000年前の青銅器の数々を見る事が出来ます。その造形力の高さは特筆すべきものがあり、何度見ても毎々感銘を受けます。鎚起銅器に「宣徳色(せんとくしょく)」という着色名がありますが、これは中国・明の宣宗時代(1426〜35)に製作された「宣徳銅器」の色に由来する着色技法です。日本の銅器技術は中国から移入されたものであり、玉川堂の鎚起銅器技術のルーツも中国にあるのです。

欧州のバロック、ロココなどの伝統的様式と異なるシノワズリーの様式は、新鮮さを求めていた西洋人の感性を目覚めさせ、当時の貴族や富裕層にとって、シノワズリーを生活様式に取り入れることは一種のステータスでした。数百年の時を超え、今なおシノワズリーは世界中の人々を魅了し続けており、特にインテリアやファッション業界では世界中で様々な商品に活かされています。シノワズリー柄をモチーフとした食器、テーブルクロス、照明器具などは、時代を問わない定番アイテムであり、最近では透かし建具や壁紙など、内装デザインとして採用するホテル、レストラン、商業施設が増え、今後新たなブームを呼び起こす予感もします。シノワズリー柄はインパクトの強いデザインのため、コーディネートが難しい一面もありますが、一部に取り入れることで洗練された空間を演出し、世界中の文化と融合させることも可能な汎用性も兼ね備えています。

日本の鎖国が崩壊、明治政府が誕生すると、日本は海外博覧会へ毎年のように出展し、日本の工芸品などが欧州各地で紹介されました。そこで日本の技術力や造形力の高さに驚き、中国趣味・シノワズリーから、今度は日本趣味・ジャポニズムが起こります。ジャポニズムへと移行した背景としては、シノワズリーによって欧州マーケットの下地が出来たことと、日本は古来より中国の技術を盛んに取り入れていたことがあり、その意味でジャポニズムは中国無くして語れないことも事実です。古来より中国の工芸は世界一の技術力と感性を持ち合わせており、日本の伝統工芸にとっても中国の影響力は計り知れず、日本の工芸技術の源、そして、日本のデザインの原点は中国であるとも言えます。シノワズリーの息吹は、現在も世界中のインテリアやファッション業界などに大いに取り入れられていますが、その他様々な業界においても中国の文化を学ぶことはインスピレーションの源になると思っています。

玉川堂燕本店・銀座店・青山店 年末年始休業のお知らせ

日頃より玉川堂をご愛顧賜り、誠にありがとうございます。
年末年始は、下記の通り休業とさせて頂きます。
ご理解の程よろしくお願い致します。

燕本店
年内営業終了日時 12月29日(金)午後0時
年始営業開始日時 1月4日(木)午前8時半

銀座店
年内営業終了日時 12月31日(日)午後6時
年始営業開始日時 1月2日(火)午前10時30分(閉店は午後8時)

青山店
年内営業終了日時 12月29日(木)午後7時
年始営業開始日時 1月4日(水)午前11時

今年一年のご愛顧に感謝を申し上げますとともに、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

[第112号]新たな日本発信の拠点〜ジャパンハウス

外務省は、日本の戦略的対外発信の強化に向けた取組の一環として、日本の海外拠点施設であるジャパンハウスの設置を進めています。ジャパンハウスは、2014年に閣議決定された外務省の重要事業の一つで、今年2017年4月のサンパウロを皮切りに、来年はロンドンとロサンゼルスで開館します。日本の多様な文化を発信し、幅広く日本への関心を喚起することにより、親日派・知日派の裾野を拡大させ、そこから新たな国際交流やインバウンドを生み出していくプロジェクトです。上記3都市のジャパンハウスの都市選定にあたっては、発信の効果や日本との関係、地理的配分等の要素を考慮し、世界最大の日系人コミュニティが存在するブラジルのサンパウロ、欧州のみならず世界への情報発信のハブであるロンドン、米国内最大の日系人コミュニティが存在するロサンゼルスが選定されました。運営は直接行政が行わず民間への委託とし、そのことでより魅力的な事業展開を行い、世界中のより多くの人々への情報発信を担うのが目的です。

外務省によるとジャパンハウスの狙いは、領土問題や歴史問題について日本に対する国際社会の理解を得ることにあります。日本が経済力で世界を席巻した時代は終わりを迎え、かつてのように海外の関心が自然と集まる状況にないため、戦略的な情報発信の重要性を強調。世界各国の各界の有力者に日本の魅力が伝われば、外交に与える影響も大きいとジャパンハウスの意義を唱えています。ジャパンハウスの誕生をめぐっては、中韓による歴史戦に対抗するため、日本の正しい姿や魅力を含む戦略的対外発信の必要性が高まったことがその背景にありますが、韓国が海外に設置した施設の展示で竹島問題を集中的に取り上げたところ、来場者が途絶えたという事例もあり、歴史認識の発信などに活用することは取り止め、真の日本の魅力を伝えることで日本ファンを増やすことへと方向転換させました。ビジネス、文化、スポーツなど、日本の様々な魅力を海外に伝えることで国際交流を促そうというのです。

ジャパンハウスのコンセプトは、「日本を知る衝撃を、世界へ。日本をいかに知らなかったかの深い気づきと静かな感動を」。ジャパンハウスの総合プロデューサーは建築家の隈研吾氏で、建築デザインも木材を組み合わせた彼の世界感が表現されています。ジャパンハウスは、地域が独自の魅力を再発見し、それを世界へ向けて発信する契機となる施設となり、地域活性化やインバウンドに繋げることを目的としています。ジャパンハウス1号店は今年4月30日、サンパウロで開業しましたが、外務省が想定していた年間15万人の来場者を、開業わずか2カ月で達成するほど現地の話題施設となっており、現在も順調に来場者を伸ばしています。これはサンパウロの特異性であり、ロンドンとロサンゼルスでは、ここまでの来場者数は困難と見る向きもありますが、滑り出しは上々のようです。今後は入場者数の数値目標の達成だけではなく、毎々期待値を上回る、魅力あるイベントや物販などを提供し続けていくことが、これからの当面の課題となります。

ジャパンハウスは5つの発信を柱として事業を進めています。①民間の活力の発信(イベント開催による地場産業の海外発信など)②日本ブランドの発信(各分野の最先端技術など)③地方の魅力発信(アンテナショップ、首長トークショーなど)④日本の政策・国際貢献の紹介(領土保全、歴史認識、安全保障対策など)⑤対日理解基礎強化(日本語教室、情報・交流サロン設置など)。これら旬の日本を紹介するという使命を果たすために、ジャパンハウスでは、イベント、講演会、セミナーなど多彩なプログラムを用意し、大使館や総領事館なども協働して事業展開を行っていきます。その他、イベントの際は、各現地で運営している日本文化センター(国際交流基金)、日本政府観光局、JETRO(日本貿易振興機構)との協働も重要となり、さらに、新潟県で言えばロンドンとサンパウロには新潟県人会が存在するため、現地有力者をご紹介いただければ、より強力な体制を築くことができるでしょう。できるだけ多くの現地人と知り合うためにも、現地の他機関との連携は不可欠となります。

経済産業省が主導する対外情報発信事業「クールジャパン」に対して、今後は外務省が主導する「ジャパンハウス」も加わり、日本を海外へ発信するチャンネルが増えました。クールジャパンは、2010年に経済産業省にクールジャパン室を開設し、2012年には戦略担当大臣のポストも設けられ、国民の関心は高い一方、ジャパンハウスは外務省の重要事業でありながらマスコミの露出が少なく、地場産業の間では話題になっているものの、国民の関心は薄いというのが現状であり、今後国民に十分な情報を届けるべくより広い広報を行う必要があるでしょう。また、巨額の税金を投入しての海外箱物事業だけに、費用対効果を疑問視する声があり、賛否両論があることも事実です。しかし、地場産業や各種業界においては、海外展開の大きなチャンスでもあり、いかにしてジャパンハウスを積極活用していくかが、その成否に大きく関わっていくことでしょう。

私たち燕三条地域では、来年ジャパンハウス(ロンドン)出展を目指して事業を進めており、燕三条の文化と技術力を海外へアピールする絶好のチャンスと捉えています。現在、燕三条ブランドとして欧州の海外見本市へ毎年出展していますが、今後はジャパンハウスという海外拠点施設が増えたことで、海外展開の幅がさらに広がります。ジャパンハウスの場合、領事館や日系コミュニティなどのご支援をいただきながら、現地有力者をご紹介いただくなど的を絞った戦略を敷くことができ、世界各国不特定多数のバイヤーを相手にする海外見本市とは異なる発信が可能となります。世界主要都市には、ニューヨークのジャパンソサエティーやパリの日本文化会館など、日本と世界を結ぶ交流施設は多数存在しますが、今後はジャパンハウスという国を挙げての交流施設が加わり、日本と世界の距離はさらに縮まっていきます。ジャパンハウスは既にスタートを切っています。特に地場産業に関わる方々にはお互い積極的に活用し、情報を共有し合い、地域活性化、そして、インバウドの地方流出へと繋げていきたいものです。