[第8号] 世界的日本茶ブームの前兆

「朝茶は三里帰っても飲め」「新茶は寿命がのびる」などと言われている緑茶。緑茶に含まれるカテキンが脚光を浴び、今、緑茶が大いに見直されています が、その緑茶は待望の新茶の時期を迎えました。新茶とは、立春(2月4日)から数えて八十八夜(88日)の頃に楽しむお茶のことで、今年は5月2日(土) にあたります。昔からこの日に摘んだお茶は不老長寿の縁起物とされ、その新茶を飲むと、1年間無病息災で過ごせると伝えられています。

茶樹は長い冬の間、養分をたくさん吸収し、春の芽生えと共に栄養分をたっぷり含んだみずみずしい新芽を出し、これが新茶となります。最も早い新茶は4月 上旬に鹿児島県など温暖な地域から出荷され、静岡、京都など主要産地では4月下旬から、北限の茶産地である新潟の村上茶は5月中旬頃となります。新茶は旨 み甘みの成分であるアミノ酸がとても多く含まれているため、大変豊かな香りを堪能でき、さらに栄養価の面においても素晴らしい効用が発揮されます。

さて、緑茶などの日本茶は、健康志向の高まりで需要は確実に高まっていますが、海外への輸出量も年々増加しています。日本茶の輸出量No.1はドイツ で、ドイツ主要都市のティーショップでは、様々な日本茶が販売され、日本製の茶器も多数店頭に並んでいます。弊社が毎年出展しているリビング業界世界最大 の見本市、ドイツ・フランクフルトメッセ「アンビエンテ」では、ドイツのティーショップのバイヤーが、日本の茶器メーカーの商品に大変注目しており、弊社 茶器もドイツのティーショップで販売されるようになりました。

そして世界最大の都市、ニューヨークでも日本茶がかなり浸透してきました。その先駆け的な存在が、「お〜いお茶」で有名な「伊藤園」様のニューヨーク ショップです。高級日本茶と、高級日本茶器をニューヨークのブランド街で販売し、弊社の海外最大のお取引先でもあります。ショップは、マディソン街の68 丁目に位置し、まさにアッパーイーストの一等地。2002年に開店し、ニューヨークでは馴染みの無い日本茶の啓蒙活動に努め、今や多くのニューヨーク市民 に親しまれています。店内では日本製の茶器を使用して日本茶の試飲を行っている他、店舗2階で日本料理「会(KAI)」を運営し、洗練された日本料理と共 に、厳選の日本茶を提供しています。

現在、世界各国で日本食ブームが巻き起こっていますが、それに伴い、世界各国が日本茶にも注目するようになりました。今後、日本茶の世界的な需要拡大は 間違いなく進むものと見られ、我々伝統工芸業界も、大きなビジネスチャンスとして捉えています。弊社のこれからの海外事業の方向性の一つとして、日本茶文 化を通じ、機能的で美しいデザインを吹き込んだ、より「機能美」を追求した日本茶器を開発し、日本茶と共に、正しい日本の文化を世界各国へ伝えていきたい と思っております。