[第5号]新潟の文化を世界へと発信する「百年物語」

「100年後にも大切にしていきたい生活文化を楽しみ、維持し、継承していくための道具を世界へ発信、提案していく」。今月は、にいがた産業創造機構が主催する「百年物語」プロジェクトをご紹介いたします。

百年物語は、2003年に発足し、県内の地場産業企業が集結。毎年開発テーマを設定し、著名デザイナーとの共同作業による新潟の地域資源を活用した商品 開発を行っており、弊社も発足当時から参加しています。商品開発のあり方として、少量生産、個人対応のちょ寿命型の商品開発をコンセプトに、一人ひとりの 価値観や個性にしっかりと対応し、百年間(百年以上)愛着を持って使用していただける商品の開発を目指しています。そして、道具そのものが職人的な技やデ ザインの美しさを楽しめる商品を追求し、「日本の新潟」という産地の魅力と力を世界に提案することで、より良い生活文化を創り、支えるシステムを構築する ことを目指しています。

これらのコンセプトに基づき開発された商品群は、2005年2月開催の世界最大のリビング見本市、ドイツ・フランクフルトメッセ「アンビエンテ」に初出 展しました。以来、5年連続で「アンビエンテ」に出展し、新潟の文化を世界へと発信。百年物語傘下の各企業に世界各国から取引依頼があり、海外市場開拓に 成功しています。このように、海外市場を開拓するためには、海外メッセに出展し続けることが最も効果的な方法ですが、企業単独で海外メッセに出展しようと すると莫大がコストが掛かり、特に小さな町工場の多い地場産業においては、大きな経費の負担となります。しかし、新潟県の支援の下、海外進出を目指す新潟 県内の企業が連携し共同ブースに出展することで、効率的に海外への事業展開が可能となります。

さて、この百年物語は、県内の地場産業集合体のメリットを最大限に生かすべく、各企業間において様々な交流を行っています。新潟県は地域資源の宝庫であ り、にいがた産業創造機構のご紹介によって各企業同士が技術交流を行い、異素材と取り入れた独自性の高い商品が開発されています。また、流通の情報交換も 行われ、各企業同士でお互い流通業者をご紹介。国内外の市場開拓を効率的に実践しています。このように、百年物語の存在によって新潟県内の地場産業間、企 業間の交流が推進されたことは、特筆すべきことであると思っています。

現在、「百年物語」のように広域の企業が連携し、統一コンセプトに基づいた商品開発を行い、地場産業を活性化させていく動きが全国各地で興っています。 今後の方向性として、日本全国で地場産業連携の輪を広げ、全国各地の地域資源を活かし合ったモノづくりを行うことが理想です。これからは共栄へと眼を向け 地場産業同士が連携し、日本ならではの素材と技術を融合させた現代的な「新しい和の世界」を構築させ、その商品を世界市場へと提案して行くことが、今後の 地場産業のあり方であり、地場産業を活性化させる最も有効な手法であると考えています。