[第10号]小が大に勝つ弱者逆転の法則

小が大に勝つ弱者逆転の法則として、全国さまざまな業種で実践されている「ランチェスター戦略」。イギリスの航空工学のエンジニアであったランチェス ターは、第一次世界大戦の空中戦をシュミレーションしたところ、相手に必ず勝つための法則を発見し、この必勝の戦闘方法は「競争の科学」として、次第にビ ジネスの戦略として活用されるようになりました。ランチェスター戦略は、業界シェア2位以下の企業が対象の第一法則「一騎討ちの法則」と、業界シェア1位 の企業が対象の第二法則「集中効果の法則」に戦略が分けられますが、ここでは第一法則「一騎討ちの法則」の4つの戦略についてご説明いたします。

①「局地戦で戦う」
広域に販売展開をしては少ない戦力を分散させてしまうため、販路は絞り込みます。
②「一騎討ちで戦う」
売り込む商品を1アイテムに限定し、その商品に対し徹底的に売り込みを図ります。
③「接近戦で戦う」
直接お客様と接し、生の情報を仕入れます。
④「一点集中に徹する」
①〜③の戦略に経営資源を集中させ、強い信念を持ち、最後まで粘り強く攻め続けます。

新潟県三条市と燕市は、世界的金属加工産地として知られていますが、「金属加工の世界では実現不可能」と言われた商品を開発し、世界各国から注文が殺到 している企業は多数存在します。その場合、世界でその企業しかつくれない商品であるため、その商品を購入する場合、どんな価格であろうが、その企業から購 入することになります。このように、自社しか出来ない技術や商品を持てば、武器効率は無限大化し、ブランド価値を一気に高めることが出来ます。

街の小さな小売店においても効力を発揮します。郊外型の大手スーパーと同じような品揃えをしていては価格競争に巻き込まれ、とても太刀打ちできません。 売り込むアイテムを一つに絞り込み、そのアイテムのコアなお客様から絶大な支持を受ける店舗へと戦略を変えていきます。例えば、酒屋ならベルギービール専 門店、パン屋ならメロンパン専門店など。専業化させることにより、その分野の情報やノウハウが効率良く蓄積され、かつ業務スピードは郊外型の大手スーパー を圧倒することが出来ます。小さいな小売店が一つの商材に一点集中させることを「ウルトラ・カテゴリー・ショップ」と呼び、郊外型の大手スーパーに対抗す るための戦略となります。

地場の町工場、街の商店街などの生き残りの鍵は、「◯◯といえば□□」という専門家として認められるようなモノづくりや販売方法に、一点集中攻撃を掛け ていくことに尽きます。模倣商品の製作、セール販売など、目先の利益だけを追い、儲かりそうな市場をつまみ食いすることに時間を費やしては、先人達が築き 上げてきた地場産業の貴重な資源を浪費してしまい、地場産業の地盤沈下はますます進行してしまいます。今こそ、ランチェスター戦略を確実に実践させ、日本 ならではのモノづくり、家族経営だからこそ実践できる魅力的な店舗展開を行っていきたいものです。