九州最大約150万都市の福岡市は、交通インフラに大変優れた都市です。福岡空港国内線は、東京を中心に全国の主要都市と結ばれ、国際線は、アジアへ一番近い日本の都市として多数の便があり、国内線とほとんど同じくらいの距離で移動できます。また博多港は、国際旅客において日本一の乗降人員数を誇り、韓国の釜山へ最短3時間で移動できる高速船が運航しています。また、九州新幹線の開通によって、これまで以上にアジアからの観光客やビジネスマンが福岡を訪れ、さらには、九州新幹線によるストロー効果によって熊本県と鹿児島県からの福岡出張や買い物客が増加し、福岡は九州全域が商圏となっています。そして、福岡をはじめ九州企業の海外進出先の多くが中国、ASEANなどのアジア新興諸国となっており、官民連携でアジアとの経済交流の拡大に向けた環境整備が推進されています。
イギリス発の世界的グルーバル雑誌「MONOCLE(モノクル)」において、世界で最も暮らしやすい都市ランキングに福岡が第12位にランクされました。日本では東京と京都が20位以内にランクインされていますが、特筆すべきは、ショッピング部門において、先進国の首都を押しのけ、福岡が世界第1位に選出されています。MONOCLEは、毎年都市ランキングを行っていますが、福岡は毎回上位に選出されており、アメリカ「News Week」でも世界で最もホットな10都市の一つに、福岡を選出しました。こうした福岡に対する評価の理由は、アジア主要都市や日本国内を結ぶ交通アクセスの良さに加え、福岡市内の優れた交通網、国内外有力企業の福岡進出、世界の食通が高く評価する福岡の食文化、多種多彩なショッピングエリア、公園の美化など、都市再開発におけるモデル都市としてのレベルの高さが挙げられます。
支店経済である福岡は、サラリーマンが最も転勤したい地域として普遍的な人気を誇ります。それを支えているのが、コストパフォーマンスに優れた飲食です。豚骨ラーメン、モツ鍋、辛子明太子などは博多発祥の名物として全国的に有名ですが、鳥料理店の数が人口あたりの軒数全国一を誇り、博多発祥の水炊きをはじめ、地鶏炭火焼きなど、鳥料理のレベルも全国屈指。そして、それらを総合的に気軽に楽しめるのが屋台であり、「角打(かくうち)」と呼ばれる立ち呑みスタイルも盛んな地域です。福岡は支店経済にも関わらず、関東や関西などの大手飲食チェーンが進出しづらい街と言われています。高級店から大衆店に至るまで、地元飲食企業や個人経営の実力店がひしめき合い、大手チェーンが福岡へ進出しても、成功するのは他の地域より難しいというのが業界の定説となっています。
福岡は支店経済によって成長を遂げてきた都市。しかしながら、支店経済を推進させていく一方、福岡に本社を置き、アジアを往来する企業を増加させていくことも今後の課題です。アジアへの近接性という強みを活かし、福岡で起業する環境を構築すれば、移出産業にも成長の余地があります。福岡はアジアとのネットワークが成長のキーワードであり、国際線は観光客ばかりでは採算が合わず、ビジネス客がいないことには成立しないと言われているため、福岡本社機能の充実を図ることは、人口の流入・定着させることにもつながります。また、福岡の陸(駅)・海(港)・空(空港)の交通インフラはすべて半径2キロ圏内に集中しており、乗り換えが便利で、物流面では低コストの輸送が可能です。この利点もさらに活かしていきたいものです。
これからの日本経済の発展には、成長著しいアジアとの連携を強め、その活力を取り込むことが不可欠です。 福岡はアジアの玄関口としての長い歴史、地理的優位性を有し、アジアへ向けた日本の新成長戦略拠点として最適な地域であり、日本国内で上海やソウルに最も近い、アジアへのゲートウェー都市です。中国のGDPが日本を追い越し、アメリカに次ぐ世界第2位となりましたが、これにインドやASEANも続き、まさに今、アジアの時代が到来しています。福岡はアジアの中核都市として、さらなる成長が見込まれ、日本国内でも非常にポテンシャルの高い地域。国は新成長戦略の柱として、福岡を「グリーンアジア国際戦略総合特区」に指定しました。地方分権の時代。福岡を中核とし、アジアから世界へ向けて発信、アジアの国々と共に日本の経済成長を促進させていくことが、福岡に課せられた役割です。